Laputa Financial Report 2022
ラピュータ金融レポート 2022
5.今後予定されている法改正等の情報
5―3 職場環境の変化に関する法改正 近年の職場環境の変化は、皆さまも肌で感じていらっしゃることと思います。社会保険制度の改正により、2022年4月以後、公的年金の受給開始時期は最大で75歳まで遅らせることができるようになります。これに呼応するように、2021年4月の法改正を経て、企業における雇用確保は、これまでの65歳までの雇用確保の義務に加えて、現状では努力義務ではありますが、70歳までの雇用確保に向けた取り組みが求められるようになってきています。また、2022年10月以後、短時間労働者への厚生年金保険の適用範囲の拡大が施行される予定であり、この結果、若年層から中年層および高年齢層まで、幅広い世代が同じ職場で勤務する環境が広がることになります。職場におけるマネジメントはますます難しさを増していると思いますし、マネジメントの果たすべき役割も変化してきていると思います。このような状況下において、職場環境に関する法制度であるハラスメント対策の義務化についても、次の局面を迎えます。職場におけるハラスメント防止措置については、2019年6月に法律上の義務となり、既に一定規模以上の大企業においてハラスメント防止措置が義務化されていますが、このハラスメント防止措置の義務化が、2022年4月から、中小企業においても義務となります。経営者にとっても、従業員にとっても、ハラスメントのない、働きやすい職場が好まれることは改めていうまでもありませんが、職場間におけるいざこざ、ハラスメントの根絶は、なかなか難しいと思います。しかし、法律上の義務となりましたので、考え方をすこし変えなければならないと思います。ハラスメントは、従業員個人間の問題、ある上司とある部下の特定の間柄での問題、道徳的な問題であるというこれまでの考え方はすこし改めなければならず、法令遵守の観点からのアプローチを進めなければならないと思います。ハラスメント防止措置が法律上の義務になったことで、ハラスメントの定義が法律においてなされ、事業主としてどのような措置を講じなければならないかということが、法律、また、法律を根拠とした厚生労働省令などによって定められるに至っています。事業主としては、法令を正確に理解し、法令を遵守する観点から、このハラスメント防止に対して取り組みを進めていかなければなりません。ハラスメント防止措置は、事業主が取り組む法律上の義務とされていますので、すべてを現場任せにはせずに、トップ自身がハラスメント防止に対するメッセージを発し、また、現場に対しては、ハラスメントをしてまで成果を上げてもその成果に対して評価を与えないことを明確にしなければならないと思います。また、法律上の義務を果たすためには、従業員教育、具体的には、従業員に対するハラスメント研修の実施が大変有効です。この研修は、一度のみならず、定期的に実施し、研修実施と合わせてアンケート調査を実施することで、ハラスメントの実態を把握し、その改善状況を確認することができるようにしておくことが、ハラスメント防止措置として(ハラスメント防止措置を実施している記録を残すこともでき)、有効に機能するものと考えます。 <外部リンク> ◇ 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました(厚生労働省) ◇ 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~(厚生労働省) ◇ あかるい職場応援団(厚生労働省) <弊社ウェブサイト関連情報> ● FP技能を企業内研修で〜人財組織課題解決研修〜 2022年も、皆さまの大切な資産、会社、組織をお守りすることにお役に立てますよう、弊社またLFAプロフェッショナルファームは、全力で取り組んでまいります。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。ご相談はお気軽にご連絡ください。
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